わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

善良な独裁者

いいものを作ろうとするとき、合議制で進めるのは最悪だと思っている。何を「いい」とするかはもちろん人によって意見が分かれるのだが、複数人が集まって作ろうとすると、いいもの、どころか、つまらないものが出来上がる事がほとんどである。これは様々な場面で当てはまる。

 

例えば、自分が日々よく携わるデジタルサービスを開発していく場面。要するにWeb、又はスマホアプリを開発していくわけだが、複数のメンバーが色々意見を述べ合って、全員の合意をとりながら進めていくと、ろくなものができない(少なくとも自分の経験の中では、、、)。あるいは、戦略コンサルティングファームでクライアントにデリバーする資料を作る際も同様である。色々な人間の意見を取り入れていくと、ぼやっとしたメッセージになって、結局クライアントに何を伝えたらよいかわからない、という資料が出来上がる。

 

「じゃあどうやったらいいんですか?」とたまに尋ねられるが、自分はいつも、「善良な独裁者が必要なんです」と答えるようにしている。合議制ではなく、独裁者が決める。単なる独裁者ではなく、「善良な」とついているのがポイントで、この場合の「善良」はシンプルに言い換えれば、他人の意見を聞くことを指している。自分の独断で決める権限を持っていながらも、他人の意見を聞いて、参考にできる、又は自分の思考をそれによって刺激して新しいものを産み出せる、そういった善良な独裁者がいるケースでは非常にうまくいく場合が多い(もちろん、他人の意見を聞く、だけでなく、本当に結果を出せる善良な独裁者になるためには、軋轢を恐れずに決める覚悟とか、高度なコミュニケーションスキルとか、色々な能力が必要なのだが、、、)

 

システムのアジャイル開発においても、開発の優先順位を決定する役割を担うプロダクトオーナーの重要性がよく説かれるが、プロダクトオーナーはまさに「善良な独裁者」だと思う。このプロダクト―ナーの役割の本質を理解せず、たまに、全員で合意しないと進められない人がプロダクトオーナーになってしまうケースがあるが、そのような場合、プロジェクトは結果として混迷を極める事が多い。まあそういったケースが世の中あまりに多く存在してくれているから、自分が仕事を頂けている、ということなのだが。。。