わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

会議とは意思決定をする場である

このブログを始めたのは、「自分、いつも同じことを言っているな」と思った事がきっかけだ。特に、一緒に仕事をする事になった人に、いつも同じことを言っているなと。

 

同じことを言っている、という事は、ポジティブに捉えれば、それだけ自分の中で物事が昇華され、本質にたどりついているという事であるが、ネガティブに捉えれば、自分の思考が進化していないともいえる。自分は後者でとらえ、一度繰り返し言っていることを書き出して、自分の引き出しを空っぽにしてしまい、人生の後半、新しい経験をまた一から積むしかない状態にしようと思ったからだ。

 

その繰り返し述べていることの一つが、「会議とは意思決定をする場である」という事だ。このことを理解していないビジネスパーソンが驚くほどに多く、本当にがっかりする毎日である。意思決定をするために会議をしている。自分はごく基本的なことだと考えているのだが、これを実践できているビジネスパーソンは、繰り返しになるが、驚くほど少ない。それは一般的な企業の中だけでなく、戦略コンサルティングファーム内でも一緒だ。戦略コンサルになると、さすがに会議の前に「論点」を洗い出したりはしているが、できの悪いコンサルになると、「論点=答えるべき質問」程度にしかとらえておらず、「何を意思決定するのか」まで考えられていないことが多い。

 

会議を設計する時、

  1. 何を意思決定するのか(あるいはさせるのか)を決める
  2. そのために答えを用意すべき論点を決める
  3. 意思決定をしやすいように、論点を並べ替え、お話(=ストーリー)を作る
  4. そのストーリーに沿って資料を準備する

といった流れが基本ステップだと考えている。(1)を考えるのが難しいのは当然の事、(2)や(3)にもかなり頭を使う事になる。というのは、論点を洗い出すとき、(答えがまだないものも含めて)一旦全て洗出し、(1)の意思決定をする上で重要なのはどれか、意思決定をする側の人間(例えば、社長)の立場に立って考え、絞込み、各論点に対して答え仮説を作り、それをどのような順番で頭に入れると入りやすいかを考えてストーリーに落とし込んでいく。この作業は高度に知的で、同時に、ある程度のビジネス経験がないとうまくできない。逆に言えば、これを繰り返し実践することがいいトレーニングで、特に社長や取締役といった経営陣と対峙する際は、論点の絞込みや答え仮説が彼らの考えと一致したかどうか、で自分の今の力量を図ることができる。ギャップがあった場合は、そのギャップにこそ非常に大きな成長/学びの余地があるわけであって、そのギャップが楽しみになるのである。

 

こういった事を力説していると、いや、「情報共有が目的の会議もありますよね」という反論が来るのだが、答えは明確で、そんなものはない、のである。正確に記載すると、

  • 会議=意思決定をする場だが
  • 意思決定には共通認識が必要なことが多いので
  • 会議は、「共通認識の形成+意思決定」で構成されることが多い

という事かと思う。共通認識を形成するだけの場を、「会議」とは呼ばないし、呼んではいけないのである。これを勘違いしている人が集まった組織では、ひたすら情報共有という名目で会議が開催され、情報を共有することで安心し、何も意思決定がされない、という状況に陥る。いわゆる大企業病の一つの症状だ。

 

また、「アイデアをブレストするっていう会議もあるじゃないですか」と言われるのだが、ブレストも、出したアイデアをどこかで絞り込んで、これで行こうと意思決定が発生するという事を考えれば、ブレストは「共通認識の形成」の派生形(この場合議題に載せるアイデアを一旦洗い出す場)と考える事ができ、「会議」ではなく、その準備のようなものである。

 

会議を招集するからには、意思決定事項をが決められているべき、これは常にそうであるべきで、主催者は戦略的思考で設計すべきことなのだ。会社によっては、会議に用いる資料の1枚目は「本日意思決定すべきこと」にする、という決まりがあったところもある。そういった工夫をしてでも、生産的な会議を行えるように、自分も努めたい。