わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

DXに関する雑感(第1回):DXって「会社の文化を変える」という事ですよ、という話

自宅の周りの道を7キロほど散歩するのが日課になっているのだが、歩きながら考えた事で久々に軽く自分のために整理しておきたい、と思った事が出てきたのでエントリーに残しておく。

 

デジタルトランスフォーメーション(以下DX)に関する雑感なのだが、第1回目は「DXとは、極論、会社の文化を変える事なんですよ」というお話。

 

以下、やや長いどうでもいい前置きーーー

まずDXの定義について、色々複雑な解釈はさておき、とりあえず自分は以下のように単純な理解をしている:

色々なデジタル技術(①)を使って、事業のやり方を変える事(②)

 

上記定義には、①と②とふったように、重要な要素が2つある。

 

まず①の部分、すなわち、DXの「D」に相当する部分であるが、ここでいうデジタルとは幅広いデジタル技術全般を指しているものと考えている。情報をデジタル化してコンピューターネットワーク上でやり取りをする、いわゆる「IT技術」のみならず、「ドローンを使って輸送を自動化する」とか、「ロボットを導入してピッキング作業を自動化する」とか、「椅子にセンサーを取り付けて社員の健康を管理する」といったソリューションも実務的にはDXの中に含まれているので、そういったIoTやらドローンやらAIやら、なんかしら機械化に関わる技術(ITの周りを彩る技術とでも言うべきか)をまるっと総称する言葉として「デジタル」が用いられているのだろう。

 

そして②の部分、すなわち、DXの「X」に相当する部分であるが、ここでいうトランスフォーメーションとは、先ほどは「事業のやり方を変える事」と抽象的に書いたものの、より具体的に書けば(少なくとも実務上は)2つしかなく、一つは「コストを削減する事」、もう一つは「売り上げをあげる事」である。つまり、デジタル技術を用いてコストを削減するか、売上を上げる事がDXなのである。

 

トランスフォーム(一変する、変革する)という強い表現が用いられているのは、デジタル技術の進化・深化により、本気でデジタル技術を用いてコストを削減、又は売上を上げる施策を打ちに行くと、劇的にこれまでのやり方から変わる、それこそビジネスモデル自体が根底から変わってしまう事が起こりえるからだと理解している。ただ現実的には、大して重要でもない業務システムを一つ入れるのも「DXだ」と言われたりすることがあるので、本当にトランスフォーメーションになるかどうかは、どの程度真剣に取り組むか、に依存する。

 

前述は、自分の勝手な解釈なわけだが、「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は、もともと2004年にスウェーデンのとある大学の教授が提唱した概念の様である。その大元の文献に当たると、

The digital transformation can be understood as the changes that the digital technology causes or infuluences in all aspects of human life

とあり、当初は人間生活全般にデジタル技術が与える影響を表す言葉として用いられていたようであるが、いつの間にかそれが商業的に用いられるようになったのだろう。

 

 

ここからが本論ーーー

さて、より重要な事は、商業的な意味でのDXについて、世の中には不思議と「明らかにDXが必要でないと勝手に思われている会社」というものが存在するという事である。その会社をつぶさに見た時に、実際に必要ないかどうかとは全く関係なく、である。

 

その代表がGoogleやメルカリだろう。

 

あなたがDXサービスを提供するコンサルタントだったとして、営業の対象とするアタックリストを作っていたとしよう。そこに、Googleやメルカリを入れようとするだろうか?入れるなどと考えもしないのでないか。

 

それはなぜだろうか?

 

彼らがそもそもデジタルを基盤にしたビジネスを展開しているからだろうか?でも考えてみればメルカリだって、ビジネスはアプリ上で展開しているにせよ、実際に多くの社員がおり、総務や採用担当といったバックオフィスの人々が働いている。蓋を開けてみれば、実は社員は経費を物理的な紙を介して毎月経理担当に渡して請求しているのかもしれないし、採用も履歴書を紙で管理してファイルに閉じたりしているのかもしれない。そういった部分はDXの対象として、新たにSaaSの導入検討をする余地があるかもしれないのに、「メルカリにも一応DX、売り込んでみるか」とは決してならないわけである。

 

「なぜ(DXが本当に必要かどうかは別として)DXの対象からは明らかに外れる企業が存在するのか?」という問いが結構本質的に重要なのではないか、と感じている。

 

それは極論DXとは「企業文化・風土に依存するもの」だからなのではないか。

 

メルカリの人たちは、デジタルマインドやケイパビリティーがあるから、「きっと紙で経費精算している事を非効率だとおもって勝手に適当なSaaSを導入して効率化しているに違いない」と思われているわけである。実態がどうであれ。

 

つまり、DXとは社員のデジタルリテラシーやケイパビリティーが高く、「デジタルを極力使えるところは使うなんて当たり前やん」という思想が当たり前にある会社には必要ないわけだ。

 

逆に言えば、そういった状態を達成する事がDXのゴールなのだと考えられる。

 

DXとは社内にデジタル文化を醸成する事なんですよ、という理解で考えると、DXを進めるために必要な要件、というのがはっきりしてくる。次回はそのことについて書いてみたい。