わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

自分が考える知性とは何か

ダラダラと書く。最近頭の中で一定の理解に達したある事について。おそらく多少長くなるだろう。

 

それは、「知性(平易に言い換えると、頭が良い)とは何か」という問いに対する(自分なりの)答えである。

 

別に哲学的な事を書きたいわけでもないし(そもそも知識も薄弱なので書けないし)、何か科学的根拠をもって示したい、という事でもない。ただ、自分の中でもやもやしていたものが、最近少しクリアになり、自分の中での納得度が一段上がった、とうだけである。頭の悪い人間(下記参照)が、薄っぺらい答えに気が付いただけの内容なので、他人から見れば本当にくだらない文章になってしまうのだが、自分にとっての備忘録として書いておきたい。

 

自分は極めて頭が悪いと思う。

 

それは10代のころからずっとそう感じ続けており(そう感じるだけの事象が色々とあった)、年齢も経験も上がって見方を変えてみても、やはりそうとしか考えられない。自分の中では「もう結論が出ている事」であり、自分の限界のようなものを痛感する日々なのである。

 

「自分は頭が悪い」と言うと、へりくだって聞こえる、あるいは嫌味に聞こえる、という人がいる。日本の最高学府とされる東京大学(⇐これは世界的に見ればクソ大学であるという嫌味を込めた文章である。参照:東大コンプレックス)を出て、生物学の分野では一流の米国大学院でPh.D.を取得し、最難関の就職先とされるBCGやマッキンゼーで働いた経験があって、何が頭が悪いのか、というわけである。しかし、そういった意見を言う人は単純に「知性とは何か」について1ミリも考えた事がなく、往々にして勉強する能力(=学力)や論理的思考能力を「頭の良さ」だと思い込み、知性についての自分なりの定義を持っていないだけである。逆に言えば、自分は「東大生だから頭がいい」とか「マッキンゼーだから頭がいい」と考えた事は一度もなく、事実、東大にもマッキンゼーにも自分に言わせれば極めて頭の悪い奴がたくさんいる、わけである。

 

考えてみると、「自分は極めて頭が悪い」という事に気が付けた事、それ自体はとても幸せな事だと思う。それに気が付く、という事は、常に、自分が「この人頭いいな」と感じる事ができる人が周りにいた、という事でもあり、そういった環境に偶然にしろ身をおけている事は幸運な事だろう。

 

大分前置きが長くなってしまったが、「頭が良いとはどういう事か」に対する自分なりの答えは、ものすごくシンプル、だがやや抽象的に書くと、

説明変数が7つくらいある重回帰分析の式を無意識のうちに解ける状態

という事になる。つまりは、

X = aA + bB + cC + dD + eE + fF + gG (小文字は係数、大文字は変数) 

みたいな式で本来解くべき問題の答えを、一瞬で、それこそ肌感で見極められる、というか嗅覚で感じ取れる、ような人の事を、自分は「頭がいい」と感じているのだ。

 

重回帰も機械学習の一種であると考えれば、要するに頭脳(=AI)がすぐれた人、みたいな事を言っているだけに過ぎず、「いや、そりゃあそういう人は頭いいだろう」と思うかもしれないが、もう少しいくつかの角度・観察事項から自分の意図を説明しておきたい。

 

まず自分が頭が良いと感じる人(経営者でも、研究者でも、学生でも、である)の特徴は、「0」と「1」という選択肢が提示された時に、0でも1でもない、「0.6」とか「0.4」くらいのところに自分なりの答えを見出し、絶妙なバランスで進んでいく事にある。特にビジネスシーンではこういった人のパフォーマンスに圧巻されるし、羨ましく思う。前述の状態は、先の式でいえば、A~Gの変数はすべてわかっている(=0と1という選択肢が与えられている)状況で、a~gの係数をどれも0にすることなく考慮し(=0と1の両極端などちらか一方を選択することなく)、最も期待リターンの高いXを求めている、といった事になると理解している。

 

この点において、自分は著しく能力が低い。より正確に言えば、自分は様々な選択肢を思いつく(A~Gの変数をすべて見つける)事は比較的よくできるのだが、そこから最も期待リターンの高いXを求める作業が全くできず、いつも極端な一つの選択肢に依存した解(つまり、X=1Aみたいな)を実行したがるのである。これは、A~Gの選択肢に少なくとも気が付く事ができる、という点で、まあ最底辺というわけでないが、Xを導き出せないという点において、社会では全く役に立たない。社会では役に立たない、というのは、より具体的に書けば、金銭的なリターンには一切結びつかない、という事である。

 

コンサルティングという職業は、ある側面で、クライアントに選択肢(つまりA~Gの存在)を提供する役割を担うと捉えているが、いくつかの場面で、本当に優れた経営者が、コンサルタントが提供した選択肢を自分なりに解釈して独自のX(それは自分では全く導き出せなかった)にたどり着き、実行していく姿を目にしてきた。その能力は傍から見れば神がかっているように見える。

 

そして、もう一つ、自分が明確に先に書いた答えにたどり着くきっかけになったのは、「投機(と考えられている事)で儲けを出せる、その道のプロ」を観察する機会があったからである。要するに、プロのギャンブラーの思考、にふれる機会があったのだ。その彼は為替(FX)歴15年ほどで、昨年は1万円チャレンジ(1月1日から1万円でスタートしていくらに増やせるかを競う)において、10カ月程度で1000万円に達していた(ちなみにとトップの人は8カ月で1億を超えたらしい)。そういったプロのギャンブラーは、頭の中で、色々な複雑な状況を直感的に捉えて、リスクリワードが高そうな場面でエントリーする「作業」をひたすら繰り返し、お金を稼いでいく。彼らは本能的に、本来先の重回帰式で表現されるような複雑な状況を見極めて、最も期待値の高い瞬間をかぎ分けていくのである。

 

調べてみると、このプロのギャンブラーの能力、というのは学問的な研究がなされており(それに早く気が付けない事自体、自分に嫌気がさす)、先の能力は「Risk Intelligence」と表現されるようである。つまり、言い換えれば自分はRisk Intelligenceが高い人を知性が高いと感じていたのだと思う。

 

このRisk Intelligenceは、先のプロのギャンブラーのようにお金という分かりやすいリターンに結び付く能力であり、面白ことにはサイコパスも高い人が多いようである。ちなみに、学力や論理的思考能力は、よく「金銭的リターンとは反比例する」と言われるように、頭がいいと一般的に考えられている人は大した金持ちにはならない事が多い。

 

もう少しこのRisk Intelligenceについて、学術的研究を含め理解を深めていきたいと考えている次第である。