成功する人は「今」起業する
人生40歳に近づいてくると、実際には見えていないのに「大分先が見えてきた」と錯覚し始め、自分の思考や行動のすべてが「緩やかに死の準備をしている」ように感じられ、加えてコロナで世の中自粛ムードで、輪にかけて気分が落ち込む自分を感じながら、「これがmidlife crisisか」と実感する日々である。
midlifeになったなと感じる場面の一つが、他人からのキャリア相談だ。
率直に書こう。自分にキャリア相談をしてくる人間は馬鹿だと思う。毎度ブログでも書いているが、人生には答えがなく、自分が正解だと思った道が正解になるので、そもそもキャリアは人に相談するものではないと考える(むろん、自分の頭で判断するための情報を収集する目的なら理解できる)。また、大したキャリアを築いていない自分に相談してくるという時点で相当筋が悪い。頭がどうかしているとしか思えない。
人生をシンプルにするために、「お酒を飲まない(飲めないではなく、もう飲まない)」などいくつかの明確なルールを設定しているが、そこに「キャリア相談は受けない」事を追加した矢先、ある知人から声をかけられた。
その人は相当優秀で(少なくともかなりロジカルである事は間違いない)、自分なんかにキャリアを相談してもしょうがない事を十分理解しており、それでも一言クイックに感覚を確認したいが故に声をかけてきたようだ。曰く:
会社辞めて起業しようかと思ってるのですが、どう思いますか?吉村さん、独特の感覚もってそうだったから、笑
彼がどんなアイデアで起業するかも聞くことなく、自分は短く以下のように答えた:
さすが、最高のタイミングを選びますね。100年に一度のチャンスですよ。頑張ってください
聡明な彼は、この一言から10を察したようで、「ですよね、笑」と一言返信があって、会話はそこで終わった。
さすがだなぁ、と思う。成功を収める人はこういったタイミングを選ぶ。きっと彼も数年後大きな成功を収めるのだろう。
起業したい人は今まさにチャンスなんじゃないかと直感的には思うのだが、なぜそう感じるのか、の理由を整理してみた。なお、自分はVCで働いた事もないので、下記は全くの素人感覚である。VCで働こうとしたことはあるが、採用面接ですべて落ちたので、おそらく投資系の業種にも全く向いていないのだと想像するので、自分の認識を書くことも恥ずかしいのだが、、、、。
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理由1:ベンチャー投資に向けられるお金が「すぐに無くなる」わけでは恐らくない
コロナ禍で、多くの企業の収益が悪化する事は目に見えており、例えば国内企業がベンチャーへの投資にあてる資金も縮小するのかもしれないが、現実的にその影響が出始めるのはしばらく先だと考えられる。既に(コロナの影響が出始める前までに)組成されたファンドにはお金が入っており、その資金は引き続きベンチャーに投資されるはずである。つまり、一定のタイムラグが発生するもので、現時点ではVC等の投資会社は、「投資するお金は十分持っている」状態だろう。彼らからすれば、マーケットが崩れて、バリュエーションが下がってくれた方が投資をしやすくなるので、待ちに待ったチャンス到来、といった感覚ではなかろうか。
実際に記事検索ベースで調べてみると、グローバルでVCのドライパウダー(待機資金)の額は2019年時点で$276 billion(≒30兆円)もあり、直近の4半期で$21 billion 増えているらしい。
ちなみにこういったタイムラグは個別企業の予算ベースでも起こっており、今上半期(4月~9月)の予算編成にコロナの影響を織り込めなかった大企業が多いと聞く。つまり、上半期は通常通り予算が執行されるが、コロナの影響を見直した下半期の予算は急激に絞られ、下半期は予算執行がかなり厳しくなる、というのだ。こうした影響はコンサルティング業にも大きな影響を及ぼしそうである(が故に、上期に長期の契約をとりたい、といった本音がちらほら聞こえてくる)。
理由2:結局ベンチャー投資にコロナの影響はあまりないかもしれない
終わってみればコロナはそれほどベンチャー投資に影響を与えない可能性もあると、最近の中国でのベンチャー投資の動向をレポートした記事をみて感じている。下の図の通り、確かに中国では年初からのベンチャー投資件数が昨対比6割程度に低迷しているが、ロックダウン解除後急速に回復しているのも事実である。
1年後今の時期を振り返ってみれば、おいしい投資時期だったね、という事で済んでいる可能性もあるだろう。
理由3:少なくともシード投資には影響が少ないと考えられる
コロナの登場で世の中のビジネス環境が激変する中で、既に投資を受けていたベンチャーの次の調達は確かに厳しくなるかもしれない。革新的ベンチャーの代表格だったAirbnbも、資金調達で10%の金利を支払う事に合意した、という記事は記憶に新しい。コロナの影響が直撃する業界のスタートアップにとっては極めて厳しい環境だろう。
しかしながら、これから起業する企業へのシード投資は恐らく全く影響を受けず、むしろ増えるのだろうと想像する。実際に下表にまとめた通り、リーマンショック時(リーマンショックとコロナを比較してよいのかという疑問は常にあるのだが、、、)でも、シード投資は活況だったようである。VCからすれば、やはり「おいしい時期(仕込みまくりたい時期)」なのではないだろうか。
理由4:大衆の感覚とは逆である
先日ツイッターに、LinkedIn経由のヘッドハンターからのお誘いが4月に倍増した、といった内容を投降したが、このことについて、人材事業で起業した知り合いに雑談の中で尋ねたところ、以下のような返信があった:
多分優秀な求職者探しが難しくなって、必死なんだと思います、笑。今市場に出てくる人、よっぽど優秀な人か半分クビみたいな人ばかりなので(後者が95%)
やはりそうなのかと思った。大衆(誤解を恐れずに平たく書けば愚民)の思考は、「今は会社にとどまって様子を見よう」なのである。
これは特にマッキンゼーやBCGに勤めているような、いわゆる「優等生層」には顕著だと考えられる。彼らはリスクアバースで、人生失敗したこともないので失敗する可能性が高そうな場面では様子を見るのだ。その代償として彼らは(金銭的に)大成功する事はない。せいぜいトップファームのパートナーになって、一桁億の年収を稼ぐのが top of the top であって、「時給が億」とか「総資産1000億円」といった人物にはならないし、そうなる事も心の底からは望んでいないのだ(むろん、彼らも頭はいいので、チャンスだと分かっているのだが体が動かなくなっているのである)。
逆に言えば、今会社を辞める、が、決してクビという意味ではない人は、傍から見るとそれこそ「頭がおかしいように見える」だろう。しかしながら、この感覚が非常に大切である。
大成功を収めるには、常に逆張り、正確に書けば逆張りからのトレンドフォローができる人間であって、今リスクを取れるだけ取る人が成功する。むろん、彼らは「リスクをとっている」という感覚すらなく、ごく自然に行動に移しているだけだろうが、、、(そういった感覚の持ち主が成功するのが常である)
まあ結局何が書きたかったかと言うと、なぜかストレス溜まってます、という事なのだが、笑