わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

新型コロナにみるコミュニケーションの質

このブログでも何度か触れたことがあるテーマだが、コミュニケーションの質、というのは非常に大切である。特に質の高い仕事をするためには、自分の意図を正確に言葉で表現して相手に伝える事ができる、というのは必須で、それができるだけで(あくまで自分の感覚であるが)世の中の人材の上位20%には入れると思う。逆に言えば、それだけ多くの人が、そもそも日本語ができていないし、「コミュニケーションをきちんととる」ということがどういう事か、考えた事すらないという状態だと思う。

 

先日も、同僚が下記のような文章をSlackで送ってきて、正直イライラしてしまった:

Slackのチャンネルで、クライアントとの契約状況について、XXさんに尋ねています。取り急ぎのご連絡です。

受け取った私は、「で?」という感じである。この文章はどういった意図で送ってきているのか、単なる情報共有か、相手に求めるアクションがあるのかないのか、そういった事が全く伝わらないので、正直自分の生産性が下がるだけの、クソメッセージである。

 

日々そういったクソメッセージは徹底的に無視しながら生きている私だが、その量があまりに多く悩んでいたところ、新型コロナが流行し始めた。その中で、イギリス政府の国民へのコミュニケーションの質が(他国に比べても)非常に高く、驚いた。YouTubeの動画のリンクを貼っておこう。

www.youtube.com

 

まず、新型コロナの感染状況がマクロにみて、どういった状況にあるのか、を明確に伝えている。すなわち「感染拡大を封じ込めるフェーズ」にあるのか、「(封じ込めは失敗し)感染拡大は仕方ないものの、それをできるだけ遅らせる(被害を小さくする)フェーズ」にあるのかである。後者に入ってしまった事は認めた上で、被害を最小限にとどめるために効果的な施策を、効果的なタイミングで打っていくために、協力を仰いでいる。

 

そして、疫学のエキスパートが、シミュレーション結果も示しつつ、一つ一つの施策に明確な科学的根拠をもって判断している事がよく伝わってくる:

  • 隠れた感染者が気づかぬうちに感染を拡大させてしまうのを避けるためにも、「重症の場合のみ」救急隊員を呼び、むやみに病院に行くことは避けてほしい
  • 子供の感染例は(その時点では)見られておらず、学校を閉鎖するという施策には根拠がとぼしい。少なくとも学校閉鎖がもたらす弊害(共働きの親が困るなど)とその施策の効果を比べた時に、現時点では社会にとって弊害の方が多いので、今はこの施策まで踏み込んでいない

など。

 

また、何かを禁じたとしても「人々が集中してそれを守れる」事が前提で、「守る」という意識を高く保てる期間を考えると、早く施策を打ちすぎてもダメで、タイミングが重要なんだ、といった事を説明している部分でも、思考の深さがうかがえる。

 

結果としては、日本の政府がとっている施策と類似しているわけだが、コミュニケーションの質を含むリーダーの資質という観点で「圧倒的な差」を感じる。