わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

「解釈力」が重要だ

コンサルティング能力について書くとき、特に自分が重要であると考えている「解釈力」、「戦術力」、「人間力」については繰り返し触れる事になると思う。今日はその中の「解釈力」についてである。

 

「解釈力」とは、その漢字の通り、目の前の物事を解釈する力、である。少し補足すれば、目の前の物事に対し、異なる解釈の仕方を複数、瞬時に思いつく事ができ、同時に、自分がどのように解釈することを選択するのかを決める力、である。

 

この解釈力がビジネスのみならず、人生のあらゆる局面で極めて重要だと考えている。極論、この力を磨くと、あなたは「この瞬間から」幸せになれる。

 

例えばこんな話がある。ある男性が自動車事故にあってしまい、なんとか命はとりとめたものの、右足を切断せねばならず、一瞬にしてこれまでの生活を失った。絶望に打ちひしがれている彼に、駆け付けた奥さんが言った、「あなた、よかったわね。命は助かって、しかも左足は残った」。

 

この男性と、その奥さんとでは、同じ事象に対する解釈の仕方が全く異なっている。そしてどちらの解釈をするかで、世界の見え方が全く異なるものになる事は容易に想像できる。ビジネスでも全く同じで、ある事象にぶつかったとき、それを「困難」ととらえるか、「チャンス」ととらえるかで全く意思決定が異なる場面がたくさんある。

 

大切な事は、どのような事象に対しても解釈の仕方が複数存在することを認識し、自分でもいくつかを瞬時に思いつくことができ、明確な意図をもってその中から自分が適用する解釈を選ぶことである。

 

複数の解釈を思いつく事、それは意外に難しい事なのかもしれない。ある研究によれば、バイリンガルであること、が多様なものの見方に役立っているらしい。その研究では次のようなことを行っている:正面と側面に扉がついたガラスの箱を用意し、その中におもちゃを入れる。次に、3歳児をその箱の前に座らせ、おもちゃをどのようにとるか観察する。単一の言語しか話さない親から生まれた3歳児は、大部分が側面の扉に気が付かず、正面の扉かを開けておもちゃをとるが、複数の言語を話す親(例えば日本人とアメリカ人のカップル等)から生まれ日常的に複数言語にふれている3歳児の場合は、側面の扉を開けておもちゃをとる事が多く、その差が統計的に有意だ、というのである。

いずれにしろ、解釈力を磨く事が大切。その第一歩は、繰り返しになるが、どのような事象にも解釈の仕方は必ず複数存在することを認める事から始まる。