わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

いわゆる「頭がいい」人ほど認知が歪む

最近、自粛生活で家にいる時間が極めて長いせいか、色々な思考実験をするのが趣味のようになっている。

 

その中で、あらためて気づかされる事は、一般的な教育がいかに人の頭を腐らせるか、という事である。「頭が腐る」という事をより具体的に書き下せば、「認知の仕方が画一的になる」という事で、既存の教育を受ける事は、ある事象を見た時にある側面からのみとらえる事を繰り返し練習する強化学習のようなものであり、結果として創造性が失われる。

 

以前「コンサルをやっていると頭が腐る感」というエントリーを書いたが、これもまた戦略コンサルという企業における教育(それは既存の高等教育の延長線上にあり、同一の部類のものである事は間違いないが、、、)の弊害であり、さらに認知をゆがめることにつながる。

 

無論、自分もこれらの教育を受けてきた最たる人間で、頭が腐りきっている。そのことを憂い、自粛生活の中で、少しでも腐った頭をもとに戻すのに良さそうな事を生活に取り入れているわけだが、まあ腐ったものは腐ったもので、元には戻らないわけである。

 

今日は、そういった頭が腐った、いわゆる「頭がいい人(≒現行の教育システムの中で優秀な成績を収めた人)」とされる人々の大半が(恐らく)正しく答えられない問題を出してみよう。私のブログの読者の中には現役の戦略コンサルの方も多くいると思うが、有名大学を出てトップファームで毎日頭を死ぬほど鍛えている彼らでも、恐らく90%以上の人は正しく答えられないと想像する(違っていたら申し訳ない、、、)。認知がいかに歪んでいるのか、という事を考えるきっかけになれば幸いである。

 

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以下の問いを考えてみてください(答えは少し下に書いておく):

下の、A、Bのグラフは、ある一定期間の商品の価格推移を示しています。

この期間、商品の価格が上がりやすかったのは、A、Bのどちらですか?

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いかがだろうか?

 

わざわざこんなシンプルな問題を出すからには、何か裏があると思って、今回は正しい答えにたどり着く人も想像しているよりは多いのかもしれない。問題文というのはそれだけで認知をゆがめてしまうものであり、作り方が極めて難しい。戦略コンサルでアンケート作成をしたことがある人はその苦労を知っているはずだ。

 

正解は一見するとBのように見える。「実際に価格が上がっているのだから、Bの価格が上がりやすかったに決まっているではないか」という事だろう。ごもっともである。Aの方の価格はレンジになっていて、一定の幅に収まっているように見えるが、確かにBは上昇トレンドにあるように見える。

 

でも正解は、実はA、B共にランダム生成された価格推移である。つまり、価格が次に上に行くか、下に行くかは毎回乱数によって50%の確率で決定されたのである。

 

上に行くか、下に行くか、50%の確率で決められたのだが、Bのようになることもある。それを瞬時に想像できただろうか?こういった問題形式ではなく、AとBの価格推移を何らかの違うコンテキストで見せられた時に、「ああそれランダムじゃないですか」という発想ができるだろうか?むしろ、頭のいい人はなんらかの理由を考え始めるのではないだろうか。ランダムに決まったことに対して、である。

 

こう考えると、結局世の中で起こっている事の大半は後から意味付けがされているだけで、この「後から意味をつける」、そうしなければ気持ち悪い、という事自体現在の教育システムが産みだした人間の特性の一つかもしれない、と思ったりするわけである。