わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

日本語はできているのか

地球上に生まれた、おそらく限りなく100%に近い人間が、何らかの言語を操れると考えられる。例えば日本に生まれたから、日本語を話せるといった具合に。

 

一方で、あまりに多くの方が、「母国語だから、当然ビジネスレベルでその言語を操れる」と勘違いしているように思う。以前勤めていた会社では、社内イントラに自分の英語力を記載する部分があり、Native、Fluent、Business Levelといった区分けがされいたような記憶があるが、日本人社員は、日本語の場合、当然「Nativeであり、ビジネスレベルで日本語が使えるのは当たり前だ」と考えている。

 

しかし、経営コンサルティングの仕事を通じ、色々な組織にお邪魔した経験から言うと、日本語が本当の意味でビジネスレベルでできている人間はせいぜい10%くらいだと思う。残りの90%は、日本語を用いて自分の意思を、第3者に曖昧性なく表現する、伝える、といった事ができていない。その人たちが、日本語すらできていないのに、英語で議論をしなければならない場合、「混沌を極める」という事は言うまでもない。

 

例えば、今日あるクライアントメンバーが、メールの下書きを確認してください、と持ってきた文面に、以下のような文章があった:

「重要な指標は、継続的な顧客との関係性構築と考えています。そこから最も重要視すべきはLTVであり、、、」

この文章、読み手に正確に意図は伝わるのだろうか?否だと思う。

 

まず、クリティカルな点として、最も重視している指標が、「顧客との関係構築」なのか「LTV」なのか、どちらなのかがわからない。がゆえに、結局何が言いたいのかわからない。そして、細かい語順レベルでも正確性を書く。「継続的」であるべきは、「顧客との関係」であって、「顧客」ではないので、修飾関係が明確になるよう、「顧客との継続的な関係構築」とすべきだ。また、関係性構築、というより、関係構築の方がしっくりくるし、「性」という言葉を入れたいなら、関係性の構築、というように、「の」を挟んだ方がよい。こういったことを踏まえ、本来は以下のように表現すべきだったとフィードバックした:

 

「最も重要な指標は、LTVであり、その算出に必要なチャーンレート(=離脱率)とMRRが大事だと理解しています。チャーンレートを下げる事はすなわち、顧客との継続的な関係を構築できていることを意味し、、、」

 

このように、まずは正確に自分の意図を相手に伝える事ができるよう、日本語の基本的な能力を磨くべきだ。小説を書けるようになれ、と言っているわけではない。あくまで、ビジネスレベルの日本語を操れるようにしよう、というだけの話だ。