わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

プロフェッショナリズムは伝承される

「プロフェッショナリズム」はカタカナで書くとパッとわからないが、英語で書けば「professional“ism”」であって、ism(イズム)という文字が隠れている。イズム、それは主義・主張・流儀といった事を表すラテン語由来の言葉。プロフェッショナリズムとは個々人に異なる流儀であって、それは人から人への伝承される

 

最近、ティーバで再配信されていた、ルーズヴェルト・ゲームをみた。正確には50回くらい気に入ったシーンを何度も見ている。唐沢寿明、やっぱりいい役者さんだ。本当に好きだ(白い巨塔の、彼の「無念だ、、、」というシーンは100回くらい見たかもしれない)。その中で、山崎努さん演じる青島会長が、唐沢寿明演じる青島社長に以下のように問う場面がある:

『会社の数字には「人」の数字と「物」の数字がある。そして、解雇を伴う人の数字を減らす時には、経営者としてのイズムがいる。お前にはそれがあるか?』

 

イズム、それは主義・主張・流儀を意味する言葉。つまり行動の指針とする思想を指しており、あくまで思想なので人それぞれ異なるものである。プロフェッショナリズムという言葉も、考えてみればプロフェッショナル+イズムであり、プロフェッショナルについての個々人の思想を指しているのだと思う。NHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」という番組で、最後の問いが「プロフェッショナルとは?」だったと思うが、それに対する答えが、まさにプロフェッショナルに対するイズム(その人のプロフェッショナリズム)という事になる。

 

話が少し飛ぶが、昔ロックフェラー大学で学生をしていたころ、二つあった大きな研究棟のうち片方の建物の地下1階のエレベーターホールわきに、大きな黒板のようなものが飾られていたのを思い出した。そこに書かれていたのは、研究者の系譜。つまり、ある研究者Aさんの弟子がBさんで、Bさんの弟子はCさんで、というのを永遠と色々な有名研究者について記載した系図だった。当時、自分はもう一つの建物に入っていたShai Shaham研にいたのだが、Confocal miscroscopeを利用できる共有施設がその建物の地下にあり、GFPを発現した線虫を撮影する必要があった自分は、何度も何度も深夜にそこを通っていた。ある夜、ほんと夜中3時くらいだったと思うが、静まり返ったその場所を通過する時、ふと立ち止まってその黒板を初めてまじまじと眺めた。その時は、「(研究者は)巨人の肩の上にのっている」という事を表しているのかなと思って、自分の以前に存在していた多くの有名・無名研究者の存在に想いを馳せてしみじみしていたが、今思うとあれは、プロフェッショナリズムの系譜を表していたものなのかもしれない。

 

研究者は研究者からそのプロフェッショナリズムを学ぶ。直接教えられる、という事ではなく、その人の背中や言葉から感じ取る、といった形で。自分がShaiから多くの影響を受けたように、ある研究室の卒業生は、間違いなくそこのボスのイズムを引き継いでいくように思われる。

 

という意味では、自分はShaiと、そしてもう一人、現在は三ツ星テキスタイルグループの代表を務めておられる岩田真吾さんのプロフェッショナリズムを受け継いでいる。岩田さんは元BCGで、彼が強烈なプロフェッショナリズムを持っていた。自分が新卒でBCGに入社した時ついてくれたメンターの方は、岩田さんからプロフェッショナリズムを叩きこまれた人で、自分はそのメンターの彼からプロフェッショナリズムを叩きこまれた。もう一人、岩田さんから直に指導を受けた女性のコンサルタントの方がいるのだが、岩田さん・自分のメンターだった人・その女性コンサル・自分、は傍から見ると全く同じ「臭い」がするらしい。確かにプロフェッショナリズムというのは伝承されるらしい。

 

話が間延びしてしまった感があるが、プロフェッショナリズムは伝承される。伝承できるほどのイズムを自分は持てているのか、それを問いながら日々学びを重ねていく