わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

戦略コンサルが、猫も杓子もデジタルに走る理由

戦略コンサルと呼ばれる会社が、特にここ5~6年、デジタルケイパの強化に乗り出している。理由は色々あるのだろうが、ものすごくシンプルに言ってしまえば、現在時価総額上位を占めるGAFAのような企業に入り込めていない危機感があるのだと思う

 

Quoraに以下のような質問が投げられていた:

Do tech companies (Amazon, Apple, Google, Microsoft, etc.) use consulting service from consulting firms (McKinsey, BCG, Bain, Accenture, etc.)?

これに対し、元々BCGのコンサルタントで、Googleにも勤務したことがあるという回答者が、以下のように答えている:

Short answer: yes but not a lot.

In my personal experience, I’ve been on both sides of the fence. I did some work at BCG for a top tech firm and when I’ve been at large tech firms, I’ve seen top firms pulled in on specialized pieces of work.

So, it definitely happens but it’s 1) rare and 2) when it does happen, it’s often on ancillary or second tier aspects of the business. For example, I’ve never heard of Google hiring McKinsey to help with search.

 この回答は自分の感覚的にも正しいと思う。GAFAのようなIT企業でももちろんマッキンゼーやBCGを使う場面はあると思うが、比較的まれで、かつコア事業/サービスの運営に関わるようなアジェンダには戦略コンサルが必要ない、というか彼らがいても何の役にも立たない(少なくともROIは非常に悪い)というのが実情だろう。

 

次のようなごく簡単な分析を考えてみよう。IT革命が始まった年を、仮にWindows95が登場した1995年とし、その年の世界の時価総額ランキングを取得する。時価総額順に並んでいる企業名の右側に、マッキンゼー・BCG・ベインの3社のいずれかに

  • コンサルティングを依頼しているか(依頼している場合は✔マーク)
  • 依頼している場合、その年に支払ったフィーの総額(=3社にとっては売上)はいくらか

を記載していく。同様のリストを直近(つまり2018年)についても作成し、比較する。

 

この分析を実際にしたことはないし、そもそも戦略コンサルが顧客ごとの売上高を公開するわけがないので、しようとしても出来ないわけだが、恐らく結果は、3社の売上高に寄与していた多くの企業(✔がつく企業)が、1995年時点では時価総額上位にいたのに、2018年では時価総額下位に沈んでおり、代わりに時価総額上位を占めている企業群(GAFA等のIT企業中心)には✔すらついていない、ついていてもそこからの売上は小さい、という状況になると推測される。仮にこの推測が正しいとして、あなたがマッキンゼーの経営を担うシニアパートナーだったら、この結果を見てどう思うだろうか。普通に考えれば、「あれ、なんかやばいんじゃないか。時価総額上位を占める企業は、これまでにないくらい高収益体質で、急激に成長しているのに、我々はそこから収益を上げれていない。未だに収益の大部分を伝統的企業に依存しているが、彼らは中長期でみれば沈みゆき企業群なのではないだろうか、、、」と思っても不思議はない。

 

この危機感がデジタルに舵を切らせているのではないだろうか。しかしそれが本当に正しい戦略なのか、そちら方向に舵を切ること自体はマクロに正しいとしても、その中でどう戦うべきなのか、は極めて高いセンスを問われる問題だと思う。

 

ではなぜ新興のIT企業群は戦略コンサルを使わないのか。それはまた明日考察しよう。