わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

アメリカではなぜ銃規制が進まないのか

アメリカでは銃規制が中々進まないが、その根本的原因は国の成り立ちにあるという。国が国民から銃を奪う、という事は国家を転覆させる権利を奪う事になり、許されないというのだ

 

マクロでみると、アメリカ人は極めて不思議な国民だと思う。例えば、温暖化の原因がCO2であると考えているアメリカ人は全体の30%ほどしかいない一方で、「天使や悪魔がこの世で活躍している」という事を信じている人は60%以上いる。自分がこれまで接してきたアメリカ人はどちらかというとインテリ層に入るのだろうが、彼らの多くは極めて合理的で、日本人では中々見かけないような明晰な頭脳を持っていた。そういう感覚からすると、本当に信じられないのだが、マクロでみた実態はそういう人たちの集まりらしい。

 

自分の中でのアメリカの七不思議の一つ、とでもいうべきことに銃規制がある。なぜこれだけ銃犯罪が起こるのに、銃規制が全くと言っていいほど進まないのか。その理由は、ざっくりあれば2つある:

  • 建国に由来する、銃に対してアメリカ人が持っている独特の感覚
  • 銃規制が逆に危険な状況を作り出してしまう手遅れの状況

 

まず前者が、アメリカの保守系の人々(トランプのお仲間たち)がよく語る理由だ。つまり、「アメリカは国民自らが立ち上がって独立を勝ち取った経緯がある。つまり国民は国家を作る力を持っており、これからも持つべきであり、仮に今の国家が極めて悪になってしまった場合、国家を転覆させることもできるべきである。銃はそのための武器であり、必要に応じて国家に向けられるものだ。その銃を持つ権利を国家が奪ってしまうという事は、許されざる行為だ」というのだ。この言い分自体、日本人にはまったく理解できないし、私も理解できないが、アメリカ人の多くには比較的すっと受け入れられる事らしい。これが、銃を国民に持たせる大儀だ。

 

でもって、百歩譲って、じゃあ銃規制するかという時に出てくる言い分が、後者に書いた事で、「じゃあ今銃の所持を禁止したとしよう。既に多くの銃が出回っており、犯罪者は確実に銃を放棄せず、放棄するのは善良な市民だ。つまり善良な市民が身を守るすべを失い、犯罪者が武器を持つ、これは今より危険な状況じゃないか」というのだ。これは確かに短期間で見ると正しいのかもしれない。もう既に規制する事自体が逆に危険な状況を生むほど普及してしまっている、手遅れな状況なのだ。

 

複雑な議論だなと思う。

 

仮にアメリカ政府にマッキンゼーが雇われて、銃規制をすべきかどうかを考えてくれ、と言われたらどういった議論を組み立てるのかな。

 

よく出てくる議論は、「銃自体が人を殺すのではない。人が人を殺すのだ」というものだ。これにはまったくもって異論はない。