わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

コンサルをやっていると頭が腐る感

コンサルを長く続けると「頭が腐る」感がある。ロジックを突き詰める事、及び、最終的にはクライアントが判断するというアドバイザリー事業の特性が原因にあると思う

 

これはあくまで個人的感覚なのだが、コンサルを長く続けると「頭が腐る感」がある。BCGに入社した際に先輩がその趣旨の発言をしている事を聞いたことがあるので、個人的ではなく、ある程度コンサルにとっては普遍的な感覚なのかもしれない。

 

この「頭が腐る感」、分解すると何なんだろう、と考えた結果、以下の2つに集約されるとの結論に至った(MECEでもなんでもないのだが、、、)

  • ロジカルシンキングを突き詰めすぎる事の弊害
  • 「結局はクライアントが判断する」という事実が産出す劣等感

 

図で表すと、下のような感じ

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まず1点目について、コンサルタントは職業柄、ロジカルシンキングを全てのベースとしなければならない。クラインとに何か助言をするのに、「感覚ですよ」という訳にはいかないので、すべての言動・行動をロジカルに説明できなければいけない。しかも流暢に、よどみなく。そういった行動を繰り返すうちに、いかなる事象にも反論しにくい(≒クライアントから突っ込みがきにくい)ロジックを瞬時に生み出すことができるようになっていく。

 

しかしこの行動規範を強化していくと、失われるものがある。それは行動力やWillであり、言い換えればロジック云々ではなく、「とりあえずやってみる」とか、「行動せざるを得ない衝動に駆られる」といった事である。ロジカルシンキングにあまりに慣れてしまうと、ロジックができた段階で世の中分かっちゃった感に満たされ、満足し、自ら行動しなくなる。そして自分が行動する時も何らかのロジックがないと気持ち悪くなり、中々行動しなくなる、といった症状が出始めるのである。


次に後者について、コンサルティングというのはアドバイザリー業であって、どこまで行っても「最後に判断・決断するのはクライアントである」という特性がある。もちろんプロフェッショナルな彼らなので、「自分がクライアントだったら、、、」を必死に考えて、リアルな提言をしようと努力するわけだが、どこまで行っても事実としては最終的に判断するのはクライアントである。が故に、「自分で決断したことがない」というある種の劣等感、コンプレックスに苛まれる事になる。これは頭が腐る、という表現ではしっくりこないのかもしれないが、しかし、自分が事業責任者としてリアルにしたことがない事業判断について提言するわけで、そこにはどこか「偽」であることに対する背徳感のようなものがある。同時に、経営者としてリアルにビジネス判断をしている人に対するあこがれ、売上をXX億円立てた、といったリアルなビジネス実績に対するあこがれを抱きやすい。

 

この2つが相まって、頭が腐る感と表現しているのかなと感じる。

 

ちなみに、最近コンサルがよくスタートアップに身を転じる事が多いが、これは上記と関係あるような気がする。スタートアップの一般的イメージだが、「世の中を変えたい」という行動力・Willの塊であり、また成功すれば分かりやすい実績がもたらされるので、前述2点の感覚や劣等感が払しょくされる(ように感じられる、実際には違うが、、、)。しかし自分はゼロから立上げは、、、というコンサルがよく、おだてられてどこかのCOOポジションなどに入ったりするわけだが、彼らにしてみれば自分の劣等感を消してくれるポジションなので都合がいい。一方で、元コンサルを雇う側からは注意が必要で、「ロジックばかりで行動力はゼロ、頭でっかち」という人が実際にいるので、注意が必要である