わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

メッセージを乾かす

(人生2度目のぎっくり腰になってしまいつらいので、さらさらとかける昔の記憶を、、、)

 

「メッセージを乾かす」というのはBCG用語で、スライドの最上部に記載するタイトル(メッセージ文)を説明的にする、という意味である(マッキンゼーではこの用語は通じない)。

 

例えば、セグメント別の売上高推移を示したグラフをのせたスライドがあり、スライドのタイトルが「売上高は年率10%で伸びており、特にXXセグメントが堅調」となっていたとする。この場合、タイトルは「ウェット」、つまりそのスライドで伝えたいこちらの意図を具体的に示している。一方で、「乾かす」とは、タイトルに「セグメント別売上高推移」というように、単純にスライドに記載されている内容を示す文を記載する事を言う。

 

コンサルタントというのは、常に自分のスタンスを明確にとり、解釈をクライアントに伝える事が仕事なので、原則はウェットなタイトルをスライドにつけるように教わるし、逆につけていないと怒られる場合が多い。

 

しかし、一度だけ、常に乾いたタイトルをつけよ、というコンサルタントに出会った事がある。ボストンオフィスにいた頃によく一緒に仕事をしていたヘルスケアセクターのシニアパートナーで、彼はウェットなタイトルを徹底的に嫌っていた。その理由を尋ねると、「スライドに書いてある示唆がタイトルに書いてあったら、自分は何を話せばいいんだ?自分の価値は?」と言っていた。つまり、クライアントにスライドを見せて、相手の表情やその時の議論の内容を踏まえて、柔軟に効果的なメッセージを選択して伝えるのが自分の仕事であって、最初からメッセージがスライドに書いてあると自分が話すことはなくなる上に、柔軟にその場で対応できなくなるというのだ。

 

なるほど。確かにいきなりウェットなメッセージが書いてあると、押しつけがましい気がするし、データの解釈の幅を狭めてしまうかもしれない、とも思う。

 

このシニアパートナーと仕事をしてから、自分も結構メッセージを乾かしてしまう事が多い。その方がしゃべりやすいんだよね。