わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

経営コンサルタントの専門性コンプレックス問題の先にある「無用の長物化への恐怖」問題

以前「経営コンサルタントの専門性コンプレックス問題」と題したエントリーを3回に分けて書いたが、これは新卒2~3年目のジュニアからマネージャーあたりの人間が抱える問題であり、自分も体験したことがある分、リアルにその存在を語れるものであった。

 

一方で、最近ある些細なオブザベーション(観察)から、その先、つまりパートナー以上になった人間には別の問題が生じているのではないかという仮説を持つに至った。

 

その観察というのは、パートナーになった人間と話すと、必ず「お金が欲しい」とか「投資を始めようかと思う」といった話題になるという事である。こちらは一切そんな話をする意図はないのに、彼らは勝手にどこかでその話題を織り込んでくる、というか主題が終わって次にする雑談は大体お金か投資が絡む話が多いのだ。

 

つい先日も、あるパートナーの方と議論をする機会があったのだが、「5億円欲しいんだよね」という話になった。「いやいや、もうすでに年収が5000万円超えて、ファームの中で生き残れば1億も行くんだから、貯めようと思えば貯まる金額じゃないですか」と振ると、「そんなことないよ~」という。で、一発あてるために最近起業ネタばかり考えている、というのだ。

 

その方には申し訳ないが、「ああ、このパターンか(まわりの人をたきつけて起業させて、自分はほぼリスクフリーで株だけ持つチャンスがないかを探っているパターン)」と心の中で思いつつ、なぜパートナーに昇進した人間は似たような雑談しかしないのかと考えてみると、彼らは彼らで「無用の長物化への恐怖」を抱えているのではないだろうか。

 

経営コンサルティングファームでパートナーになった人は、ジュニアの視点から見ると「何もできないおじさん」に見える事がある。ロジ周りはすべて秘書に任せ、自分では自分が参加する会議の時間すら把握していない様子などを見て、「この人、このファームの外で生きていけるのだろうか」と素直に疑問に思う事がある、という意味だが、当の本人もそういった恐怖を薄々というか、リアルに感じているのではないだろうか。

 

自分が経験したことがない世界なので、これ以上何も書かないが、テーマとしては面白いなと思う。つまり、一段広くとらえると、経営コンサルタントという職業のキャリア問題だ。日本に経営コンサルティングという職業ができたのが、BCGが東京にオフィスを開設した1966年だとして、新卒採用を急速に拡大し始めたのが2000~2005年くらいからだとすると、新卒経営コンサルでキャリアに悩む人がいま大量に世の中にあふれ始めているのだろうと思う。実はそのリアルを感じる場面に日々直面しているのだが、それはまた次回のエントリーで書こう。