わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

ロジカルシンキングの限界

ロジカルシンキングとは何か?」と問われて、ぱっと分かりやすく答えることができる人は意外に少ない。日本語に訳せば「論理的思考法」になるのだろうが、では「論理的」とは具体的に何なのか、よくわからない人も多いのではないかと思う。

 

自分は、ロジカルシンキングとは、「全体像をとらえて個別要素に分解する思考法」と理解している。例えば、一人のヒトを全体像と捉えれば、概念的にまず頭と胴体と手足に分解でき、さらに胴体の中身を見ると肺・心臓・肝臓、、、と臓器ごとに分解できるように、全体をとらえてその構成要素に分解して整理する思考法がロジカルシンキングである。なぜ「ロジカル」かといえば、個別要素に分解するときに、ランダムに行っていいわけではなく、Why So?/So What?MECE、Groupingなど、分解の仕方のルールが比較的厳密に定められているからであり、それらルールにきちっと従って分解されると、客観的に見ても分かりやすくなるのである。

 

このロジカルシンキング、多くのビジネスマンにとっては必須のスキルと考えられているが、実は致命的な欠陥がある。それは、プロダクト・サービス開発には、誤解を恐れず言い切ってしまえば、「ほぼ役に立たない」事である。

 

なぜ役に立たないのか。これまた一言でシンプルにいえば、「共感」という概念をうまく扱うことができないためである。ユーザーがあるプロダクト(又はサービス)を利用するときには、多かれ少なかれ、そのプロダクトに何らかの共感を抱いている必要があるが、個別要素に(たとえロジカルにでも)分解して考えてしまうと、ユーザーが共感を感じている「(必ずしもロジカルではない)ある単位」も切り刻まれてしまい、結局何が何だかよくわからない、という事になる。

 

逆に言えば、プロダクト・サービスを開発するときには、「共感」や「思い・こだわり」という感情の単位を崩してはならず、それらを維持しながら形にしていくことが必須である。いいプロダクトは、往々にして開発者が強い思いやこだわりを込めて開発しており、それに共感したユーザーがいわゆるイノベーターやアーリーアダプターとなって世間に広まっていく。

 

前述の事を踏まえ、プロダクト・サービス開発を外部の戦略コンサルティング会社に依存している企業は、申し訳ないが、あえて失敗することにお金を使っている、様にしか見えない。仕事の特性上、戦略コンサルタントロジカルシンキングに偏重しており、共感や思いを軸に新規プロダクト・サービスのアイデアを出すことはできない。また、仮にできたとしても、それを出したのが外部のコンサルタントであって、内部の開発者でないのであれば、結局開発の段階で、開発者にしてみれば思い入れもこだわりも何にもないものを言われたがままに開発している状態になり、どこかでとん挫するのがオチとなる。

 

新規のプロダクト・サービス開発は、どんなに苦労しようが社内で色々工夫しながらやったほうがいいのである。外部に頼るのは、あくまで思いやこだわりをサポートするデータを求めるくらいにしておくのが賢明だ。