わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

デザインとは問題解決である

「デザイン」とは問題解決であって、その点自己表現であるアートとは明確に異なるのであるが、そう理解しているデザイナーが日本には少なすぎないか

デザインに関しては完全に素人である。色々なもののデザインにはとても興味・関心が高い方だとは思うが、これまで一度もデザインについての教育を受けたことはないし、偉そうに語れる立場ではない(なのでこのエントリーは、そういった自分を棚に上げ、完全に上から目線である)。

 

一方で、システム開発を通じて日々デザイナー(この場合Webデザイナー)と呼ばれる人たちと接していて感じることがある。それは一言でいれば、質の低さに対するいら立ち・あきらめであり、もう少し言えば、日本全体でデザイナーの質が低いのではないかという疑念である。

 

一般的に(少なくとも自分の経験では)、デザイナーは、こちらが要件を伝えると、フムフムと聞いてくれて、そのあとデザイン案を何パターンか出してくれるが、「なぜそういうデザインにしたのか」を細かく突っ込むと、結局は「なんとなく」という意見しか返してこないのである。それで、こちらが追加で指摘をし、それらを反映したバージョンが出来上がり、結局要望を出した側の素人感性でまあいいかと感じられるもの、でなんとなく妥協して終わるパターンがほとんどである。しかし、これが本来あるべきデザイナーの姿なのだろうか。

 

そんなもやもやを抱えている中で、YouTubeにあげられていたある米国の大学のデザイン学部の講義を見ていたのだが、その冒頭が印象的だった。話をしている教授曰く:

デザインとアートの違いは何かわかりますか?デザインはあくまで問題解決(Problem Solving)であって、アートは自己表現です。アートをやっているなら、自分の感性に任せて自由に創作すればよいが、デザインはそうではない。問題解決するためにデザインがあり、その背景には綿密なロジックがあるべきで、そのロジックを学んでいくという事がデザイン学ぶという事なのです

なるほど。そう、問題解決のはずで、こちらはロジカルな答えを期待しているのに、ロジカルにそうデザインした理由を語れるデザイナーに出会ったことがなかったのだ。

 

アメリカのデザイン系の学部では上記のように教えているのだとすると、これはどちらかというと日本という国の問題なのかもしれない。日本人は欧米人に比べて総じてロジカルシンキングが非常に弱いので、デザイナーを見ても、ロジカルシンキングが弱く、またそもそもデザイン=ロジカルシンキングという教え方すらしてないのだろう。

 

またデザイナーに依頼する側にも問題がある。デザインの基礎を知らないが故に、相手の言う事が正しいのか(きちんとしたデザイナーなのか)どうかを判断できず、なんとなくでデザイン=アートと混同して軽視してしまう、又は依頼してもその価値が分からず、適正な価格を払わないといった事が、日本では起こりがちな気がする。

 

少なくともWebデザインに関しては、「ノンデザイナーズ・デザインブック」は読んでおくとよいと思う。これを読むと、非常にロジカルに書かれており、本当にデザインは問題解決であるという事を実感すると共に、デザインの基礎が分かるため、自分自身もより問題解決視点でデザインを見ることができるようになる。

 

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]

ノンデザイナーズ・デザインブック [第4版]