わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

新卒はとにかくラストマンシップを磨け

他人のブログはあまり読まないのだが、唯一たまに目を通すものに、トーキョーハーバーがある。コンサル視点で切り取った世の中の色々が書かれていて、とても勉強になるのだが、先日拝読した「ラストマンシップ」という記事が印象に残った。

 

ラストマンシップとは、彼の言葉を借りれば、

立場上はプロジェクト全体の最終責任を負っていなかったとしても、あたかも本人が全体の責任を負っているかのように考え行動する

という行動規範を指す。この概念自体は一般的なもので、同様の事は色々な言葉を使って表現されている。「オーナーシップを持つ」とか「リーダーシップを発揮する」と言う人もいれば、「仕事に責任を持つ」とか「仕事をやりきる」という表現も似たような事を意味しているし、より抽象的には「経営者視点を持て」というのも結局はラストマンシップに通じると考えている。

 

彼が指摘しているように、このラストマンシップを持っているかどうかで、仕事の質と密度は圧倒的に変わるし、何よりラストマンシップを持つ感覚を身に着けると仕事は劇的に楽しくなり、プロフェッショナルとしての自身の成長が飛躍的に加速する。これは体験した者しかわからないかと思うが、ラストマンシップを意識できた、その瞬間から音を立てて自分の物事の見方が変わり、成長しているのが「実感できる」のである(こういった、ラストマンシップを体現し、ある瞬間に爆発的にビジネスマンとして成長する現象を、実際にBCG用語では「(アソシエイトが)立ち上がる」と表現する。立ち上がらないものは死ぬ(=クビになる)のである)。

 

本当にラストマンシップを身に着けているのは、プロフェッショナリズムの高い人たちが多く集まっている戦略ファームでも2~3割だと彼は言っているが、その通りだと思う。逆に言えば、だからこそ、身に着けることができた人間の市場価値は格段に高いのだ。

 

では、どうやったらラストマンシップを身に着けることができるのか。これは実際に新卒のアソシエイトなどがよく抱く疑問だと思う:「全体に責任をもって仕事をしたい気持ちはあるが、目の前のタスクに忙殺され、それどころではない」というわけだ。その通り、日々のタスクに忙殺され、プロジェクト全体を見渡すことはおろか、一つのタスクを完璧にこなすだけでも最初はきついかもしれない。しかし、その中でラストマンシップを身に着けるための具体的なアクションとしては、「クライアントに出すデック(スライドパッケージ)の一番最初、又は各章の最初に入れられるような、全体像を示す1枚」を何の指示がなくても書いて必ず出す、というものがある。全体像を抜け漏れなく表現する、(パートナー含む)先輩コンサルタントが一番ブレインパワーを使って書き下す、その1枚に、常に挑戦するわけである。日々のタスクに忙殺されるかもしれないが、その1枚だけに集中して、アウトプットする。そのアウトプットを出すために、帰る時間が2時間ほど遅くなるかもしれないが、その労力はラストマンシップとう形で必ずいつか返ってくるのだ。

 

どうせ仕事をするなら楽しいほうがいいし、プロフェッショナルファームにいるなら成長が早いに越したことはない。そのためにも、ラストマンシップを意識的に身に着けることが大切だ。