わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

短く伝えるという能力

“A good conversation is like a miniskirt, short enough to maintain interest, but long enough to cover the subject”

 

物事を短い言葉で伝える、というのはコンサルタントのみならず、全てのビジネスパーソンにとって重要な能力だろう。いわゆるエレベータートークができる、という事である。その重要性は、「言いたいことは1分で! 10倍伝わる話し方」といった類の書籍があふれていることからも分かる。しかし、書籍があふれている、という事は、うがった見方をすれば、どの本を読んでもさほど効果がない(なぜなら本当に効果がある本があれば、それがバイブルとなり、書籍の数はむしろ減るはずだから)という事であり、身につけるのが難しい能力であると想像される。ロジカルシンキング、と全く同じだ。

短い言葉で伝えるのが難しいのは、以下のような、複数の高度に知的な活動のそれぞれをそれなりのレベルで行う必要があるからだと理解している:

 

多くの情報(ファクト)の中から、伝えるに値する重要な情報を取捨選択する

  • 当然取捨選択の理由は、尋ねられれば、明確かつ論理的に述べられなければいけない
  • ファクトとしての重要性だけでなく、その時のコンテキストなども踏まえて選ぶ必要があり、かなりビジネスセンスが問われる

 

情報を咀嚼して、平易かつ短い言葉で表現をする

 

合わせて、その情報をベースにした自分なりの判断を端的に伝える

  • 情報そのものには価値がなく、解釈に価値があるので、どう解釈すべきか、自分なりの視点は加える必要がある
  • ここも、経験等によってかなり差が表れる部分で、ビジネスセンスが問われる

 

これらのアウトプットが、短く表現された言葉であり、これを精度高く「いい感じ」で行うには、高い能力に加えて、ある程度のビジネス経験が必要になる。

 

コンサルティングファームで、多忙を極めるパートナーを相手にしていれば、ある程度できるようになるが、身につけるのに苦労する人・しない人ははっきり分かれる(というか面接の段階でもかなり分かる事の一つである)ので、この能力も入社以前にある程度決まっている気がする。

 

振り返ってみると、自分は大学院を英語環境で過ごした事が、プラスに働いていたと思う。大学院時代お世話になったShai教授に、一度、「君はいつも短い平易な言葉で、的確に物事を言うよね」と言われたことがある。その時、「いや、英語なので、つたない表現しかできず、長く話すことができないので、、、」と答えたら、「制約のある中で話をする事は大切だよ」といったやり取りがあった。

 

確かに、自分のつたない英語という制約の中で、実験結果を説明し、自分の解釈を述べる事を繰り返した事は、まさにエレベータートークを練習していたことに他ならないのかもしれない。まあもともとだらだら長く話す事は極めて苦手で、Yes/Noの2択で答えてしまう人間なので、性格的な部分も影響していると思うが、、、。

 

なんらかの制約(文字数でも、時間でも)の中で話す練習をする、という事に元もっとチャレンジしてみるか。