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人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

コンサルスキルを身につける:基本スキル1-メモの書き方(第3回): 文章の関係性のルール

前回までで、メモ、すなわちブレットを使った文章の書き方の基本ルールを説明したが、今回はより重要な、「文章の関係性のルール」を説明したい。説明しやすいよう、以下のようなメモを想定し、ラベリングしておこう。

説明用メモ: 
XX(トップメッセージ、「A」と呼ぶことにします)
・XX(サポート文1, 「B」)
・XX(サポート文2, 「C」)
・XX(サポート文3, 「D」)

文章の関係性とは、つまり、「AとB/C/Dの関係性」を指している。一般的に言われているパターンに加え、私が実践で死ぬほど構造化したメモを書いてきた中で整理した結果、関係性は次のように考えると分かりやすいと考える。

AとB/C/Dの関係性は大別すると以下の3つである:
1) Why so, so what(⇦もっとも重要)
 i) 帰納法でWhy soを示す
 ii) 演繹法でWhy soを示す
2) How: プロセスを順番に書く(⇦次によくある)
3) 因数分解(⇦コンサルファームでは「issue analysis」などでよく使われるので、あえて切り出す)

では一つずつ、順番に見ていきましょう。

1) Why so, so what
「Why so, so what」の関係とは、つまり
・メッセージであるAに「なぜ(Why so)」と問いかけた時の答えがB/C/D
・逆にB/C/Dから「何が言えるのか(So what)」と問いかけた時の答えがA

という関係が成り立っている事を示しています。

この関係性が最も大切で、最もよく使われるものなので、十分に理解する事が大切だ。肝心なのはWhy soの関係をどうやって作るか、なのだが、それには基本的に2つのパターンしかない。
(i)の帰納法と(ii)の演繹法だ。

(i)の帰納法とは、事例を示すパターンで、その事例を「なんとなくMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、抜け漏れやかぶりなく、という意味)に見せる」必要がある。
例えば以下のような文章だ

速く走るためにはナイキの靴を履くべき
・クラスで1番足の速いさとし君はナイキを履いている
・クラスで2番目に足の速いまさ君もナイキを履いている
・クラスで3番目に足の速いしょうた君もナイキを履いている

ナイキの靴を履くべき、に対して、Whyと尋ねる。それに対して事例を持って示しているわけだ。この場合MECEかといわれると微妙ではあるのですが、ただ上位3人をとっているので、「まあ納得できる」と思う。少なくともMutually exclusive(ダブりなし)ではあるわけで、上位3人で切ったと考えればCollectively Exhaustive(漏れもない)と考えられなくもない。

また、「トップメッセージがふわっとしているので、具体例を示すパターン」もこの帰納法の亜流と考えられます。例えば以下のような文章だ。

コンサル会社は人間関係が「難しい」(⇦人間関係が難しいってふわっとしてるな、って思うわけですが)
・例)プロジェクトに入れるかはマネージャーが自分を知ってくれてるかどうかで決まる(⇦こういう事例から難しい、といっていると示す)

 

次に(ii)の演繹法とは「A→B→C」だから「A→C」といった関係性(=わかりやすいロジック)を組み立てる方法だ。
例えば以下のような文章。

高齢者向けの施設を作るべきだ
・日本は高齢者が増えている
・だが高齢者向けの施設が少ない
・だから高齢者向けの施設を作れば儲かる

あるいは(やや無理くりだが)先と同じメッセージでも書くこともできる。

速く走るためにはナイキの靴を履くべき
・さとし君とまさ君としょうた君は足が速い
・3人はともにナイキの靴を履いている

つまり
「さとし君とまさ君としょうた君は足が速い」→「3人はともにナイキの靴を履いている」→「速く走るためにはナイキの靴を履くべき」
という関係が構築されているわけだ。

2) How
これは極めて簡単で、プロセス(How、どのように行うか)を順番に書き下すパターン。例えば以下のようなメモである。

コストカットをして10億円を削減する
・まずコストカットの機会がどこにあるかを探索する
・次に具体的にどうやってカットするか、プランを立てる
・最後に実行に移す

この場合コストカットを3ステップで語っている。
ちなみに、前回示した基本ルール(b)で、サポート文は3つまで、と書いたが、プロセスだから何ステップにも分ければサポート文は3つ以上になる場合もあると思われるかもしれない。もちろんそうなのだが、ただ読みやすくするため、そういった場合でも3つまでにまとめる努力が必要だ。

3) 因数分解
最後に因数分解だが、これはあえて切り出してみた。コンサルタントが事象の原因などを探る際に、物事を因数分解して考える(Issue Analysisすると表現)事があるが、その際に以下のようなものがよく出てくる。

売上を上げるにはどうすればいいか?
・単価を上げる?
・客数を増やす?

つまりこれは売上=客数×客単価、ととらえているわけで、これに従って分解している。サポート文は単価と客数に分けているわけだ。これは完全にMECEで分かりやすい分解だと思う。

Issue analysisの場合はこういった計算式にのっとって分解する事が多い気がするが、ただ、(2)のようにプロセスで分ける場合もあるので、ケースバイケースかと思う。

文章の関係性のルールは以上。頭がこんがらがりそうだろうか?
メモを書く際に、以上のルール(基本ルールと文章の関係性のルール)は全て守る必要がある。もちろんルールを意識した上でそれをあえて逸脱する事はあるものの、まずは「ルールを全て守って書く」を徹底するとよいと思う。

先に書いたが、私はBCGに入社後の1年間で数百本というメモをこのルールに従って書いた。ルール違反のものはすぐに先輩に指摘され、修正して、の繰り返し。ただこれを繰り返すことで「構造化とは何か」を肌で理解できた気がするし、それは以降解説していくパワポ・エクセルのベースにもなった。

数百本とまでは行かなくても、もしメモを書く機会があれば以上のルールに従って書く練習をして頂き、少しでも構造化(そしてそれを行う事の難しさ、うまく行えた時の文章分かりやすさ)を体感して頂ければと思う。

次回は練習を兼ねて、例文で解説してみたい。

第4回に続く