わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

コンサルスキルを身につける:基本スキル1-メモの書き方(第4回): 構造化の練習

前回までで、メモの書き方の要点は全てお伝えしたつもりだが、例文を見ながら理解を深めてみたい。以下の文章を見てほしい(分かりやすく「ダメな」例だ)

コンサルタントは相手の興味をそそる話をすることを求められる
コンサルタントは、会話を通して自らを顧客に売り込む
・顧客は、自分のビジネスに関連する知見を持つコンサルタントに関心を抱く
・顧客は、自分にとって有益な情報を持つコンサルタントの話を聞きたいと思う
・顧客は、自らが知り得ない情報を提供できるコンサルタントに仕事を依頼する

この文章は構造化されていると言えるだろうか?答えは明確に「No」だ。まずそもそも基本ルール(b)に違反して、メッセージに対するサポート文が4つある。サポート文は3つまでだったはずだ。

次に、メッセージとサポート文の関係性はどうだろうか?文章の関係性は大別して3つ(演繹と機能を区別して細分化すれば4つのうち)しかない。そのどれかのパターンに当てはまらなければいけないのだが、この場合どうなっているだろうか。

この場合明らかに「プロセス」でも「因数分解」でもないので、「Why so, so what」の関係性が成り立っている必要がある。「Why so, so what」の関係が成り立っているかを確認する簡単な方法は、サポート文に「~(だ)から」を付けるというものだ。

上記の例で、2個目のサポート文に「~から」を付けて、メッセージとの関係性をみてみよう。

メッセージ: 
コンサルタントは相手の興味をそそる話をすることを求められる
2番目のサポート文+から: 
顧客は自分のビジネスに関連する知見を持つコンサルタントに関心を抱くから

この2つの文章が自然につながり、すっと納得できれば「Why so, so what」の関係性が成り立っていると思われるが、実際は違和感がある。「興味をそそる話をする必要があるのは、知見を持つコンサルタントに興味を抱くから」という文章は不自然だ。知見を持つコンサルタントに興味を抱く、ならば、深い知見を語る必要はあるかもしれないが、興味をそそる話をする必要は必ずしもないかもしれない。言葉もシャープでなく、関係性もあいまい。先の例は構造化されていないと判断される。

ではどう変えると構造化されるのか。例えばいかのように変えるのはどうだろう。

コンサルタントは相手の興味をそそる話をすることを求められる
・自分の見識を超えたInsightを提供されると「興味をそそられる」
・クライアントは「興味をそそられる」ことでコンサルを使おうという気になる

これは前述の(1-ii)の演繹でWhy soを示したパターンだ。
自分の見識を超えたInsightを提供されると「興味をそそられる」→クライアントは「興味をそそられる」ことでコンサルを使おうという気になる→コンサルタントは相手の興味をそそる話をすることを求められる
という関係性が見えるかと思う。修正前に比べて格段に分かりやすくなっていると感じないだろうか。

一見構造化は物凄く地味な事なのだが、これを細部まで徹底させることで分かりやすい資料・説明に繋がっていく。習熟したコンサルタントはこれを「空気を吸うように」当たり前にできる。だから彼らは仕事が早く、議論をまとめるのがうまい。

次はこの構造化のメモがどのようにパワポ資料に繋がっているかを説明していきたい