わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

秘書さんのプロフェッショナル魂

プロフェッショナルファームではバックオフィスのメンバーもプロフェッショナル精神に富んでいることが多い。パートナーが歩く空間を想像しながら、タクシーの配車の時間を決める秘書さんもいる

 

昨日バックオフィスの方々について触れたので、その続きで、これまで出会った中で、印象に残っているバックオフィスの方について書き留めておこう。BCGの2年目、まだ東京オフィスにいた頃に一緒に仕事をさせて頂いた秘書さんについてだ。

 

当時、地方にあるとある製造業の会社の研究所に常駐するプロジェクトに参加していた。月曜日の朝、始発の「のぞみ1号」で移動して、金曜日の深夜に戻ってくる日々が、何か月も続いたプロジェクトだった。そこでお世話になっていたパートナーの秘書さんについて、なのだが、とにかく「守備範囲」が広く、一緒にプロジェクトに入っていると、色々とコンサルメンバーのフォローをしてくれて、とても助かった記憶がある。具体的には、ホテルの予約をミスった時に代わりに何とかしてくれたり、常駐部屋に持ち込む備品の手配をしてくれたり。下っ端のコンサルは、本来それら事務手続き的な事は個々人でしっかり管理すべきで、ましてや秘書さんに頼むのはご法度である。仮に頼んでも多くの場合、「自分でやってください」、と言われるようなことなのだが、彼女は二つ返事で、いいですよ、とか、もうやっておきました、といって自分の業務外の事も快く引き受けてくれる人だった。そばで見ていると、ものすごい業務量をものすごいスピードでこなしており、コンサル以上に忙しそうにしているのだが、今思うと本当にすごい秘書さんだったと思う。

 

その彼女から、プロジェクトが走り出してしばらくしてから、連絡があり、できれば研究所の地図と、会議室やら常駐部屋やら移動の通路やらの写真を共有してもらえないかとのお願いされた(もちろんこちらの多忙ぶりに配慮して、お手すきの際で、ととても丁寧な依頼だった)。何に使うのかなと思って聞いてみると、そのパートナーがどういった場所で会議をして、どこをとって、タクシーの待つ場所までいくのか、どれくらいの距離を歩くのか、を把握しておきたいという。写真があった方がイメージがわくそうで。なるほど、そこまで想像して仕事をするのだなと。会議の終わるタイミングに配車して終わりではなく、配車時に、「一応この時間に会議が終わる予定だが伸びる可能性が高く、XX分くらい遅れる可能性がある」といった事を事前に伝えるような配慮もしているらしい。「待たせると悪いし」とそれを笑いながらやっていた彼女は本当にプロフェッショナルだなと、すごく印象に残っている。

 

何かを突発的に頼まれても、嫌な顔をしないで「yes boss」の精神で引き受けた方が結局最終的には自分が得をする(更なる仕事をもらえるという形で報酬があとあとやってくる)、仕事をする上での想像力がとても大事なのだ、という事をそのスーパー秘書さんの姿から学んだ気がする。