わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

全てをコントに見立てる力

ビジネスのみならず、生きていると色々な状況を目の当たりにすることが、とりあえず全てをコントだと思って、笑っておく能力は実は非常に重要だと思う

半年ほど前まで一緒に仕事をしていたエンジニアと雑談をしていた時に、「吉村さんってホントよく笑ってますよね。混沌とした状況になればなるほど、なんか面白い事いって一人で笑っている。また一緒に仕事したいですね」と言われた。よく笑っている自覚はないし、冷静に考えてみてもあまりそうは思わないものの、確かに話しかけられたときには状況を皮肉ったような事をいってよく笑っているかもしれないと思った。いずれにしろ自分にとっては最大の賛辞だ。なぜなら、社会人を始めた頃は真逆だったからだ。

 

BCGで働き始めて、最初の1年半くらい、特によく言われたのが、「表情に嫌々感が出てる」という事だった。アソシエイトという下っ端コンサルとして働いていると、本当に何をやっても自分の仕事になる、という現実がある。どんな短いものでも会議に出ればメモを取りまくり、あとで構造化してメンバーに共有しなければならないし、マネージャーがぽろっといった一言から10を想像してタスクを自分で洗い出して実行しなければならないし、とにかく人と会っても何か一言言われても、全て作業になる。そういう状況で、マルチタスキングが本来苦手な自分は、すぐに一杯になってしまい、会議に出て、クライアントが何か言うたびに「え、それもやるのか」とか心の中で思いながらメモを取っていて、自然に表情にその悲壮感が表れていたのだと思う。そういった指摘を受け続け、自分なりに取り組んだのが、「とにかく笑っておく」というものだった。

 

不思議なもので、とりあえず色々な状況で笑っておくと、そのうち全てがコントに見えるようになってきた。(これは以前のエントリーで書いた、解釈力、と言い換える事ができる能力だと思う)

 

例えば、とあるコンサルティングプロジェクトに参画していた時、初回のステコミの場で、マネージャー以下メンバーは時間通り到着していたが、飛行機移動が必要だった肝心のパートナー2名が遅刻するという事態があった。最悪だったのは、かなり大きなプロジェクトで、先方は10名以上の取締役含めプロジェクトメンバーがずらりとそろっていたこと、そして相手はコンサルが嫌いだった事である。その場にいたメンバーは何とか時間を繋ごうと、全員と名刺交換してみるとかしてみたものの、結局待つ時間が生まれてしまい、到着後パートナーが謝罪したが、クライアントの怒りは収まらず、役員が机をたたいて怒っていた。この一連のシーンを、自分は当然神妙な顔で見ていたのだが、心の中では爆笑して笑いをこらえるのが大変だった。名刺交換で時間つぶしって、、、大企業の役員が机叩いてるって、、、とか、とにかくすべてが吉本新喜劇風に見ると面白くて。そういう職業人格というか、境地に達してしまった。

 

いくらこなさなければいけない作業が多くても、いくら失敗して怒られても、命を取られる事はないわけである。人生など、言ってしまえば壮大な暇つぶしで、生物学的に見ても所詮自分はとある遺伝子を運んでいる箱舟のような存在だ。なので、ひどい状況にあたっても、とりあえず楽観的に捉えて笑っておく、コントに見立てて解釈しておく、という方が確実に幸せになれると思う。