わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

現在の組織モデルの限界

既存組織の在り方に、強い疑問を感じる事が多い。組織モデルにイノベーションが必要だと思うが、その答えが何なのか自分では見えていない。最近ティール組織について勉強しているが、それが答えなのかもしれない。ただ、実際にティール組織で働いてみないと、実感が持てないのも事実だ。

 

特にBCG時代、間接的にも直接的にも、自分はかなり組織設計に関わる機会が多かった。最初に携わったプロジェクトはリストラを伴うターンアラウンド案件だったし、その後長期にわたって取り組んだ領域は、「R&D組織の生産性改善」だった。そのせいか、「組織」というものに強い興味を持っており、どのようにしたら人々が嬉々として働くのか、を自分なりに考え続けている。「組織は生き物だ」という人がいるように、生命科学を長らく学んだ自分にとっては、生命体とのアナロジーも興味深いところだ。

 

一つ確信していることは、既存企業の大部分が採用している組織モデルは、明らかに限界にきているというか、少なくとも多くの矛盾を抱えているという事だ。

 

例えばコンサルが手伝う事も多い、中期経営計画や事業予算案など、策定する必要がそもそもあるのだろうか?非常に無駄の多い作業に、あほみたいな膨大な時間と費用(そこに高額なコンサルティングフィーが含まれる場合もあるわけで、、、)をかけていると、毎回どの企業を支援しても思わざるを得ない、というのが正直なところだ。

 

例えば予算策定。大抵、現場の最前線に立たされている上長は、未達に対する説明責任を恐れて現実的な予算を出す一方で、経営陣はそれを引き上げようとする。「ストレッチする」と言えば聞こえがよいが、現場責任者からすれば自分の成績がかかっているわけで、そこで駆け引きが行われる。はたから見ると、そんな事に何か月も使ってるくらいなら、その間営業なり研究なりに集中した方がいいんじゃないか、と思うわけだが、いずれにしてもそのやり取りの後に出てくるのは、「誰も信用できない」数字だ。経営陣はできるだけ高い目標を掲げさせつつ、心の中では、「100上積みしたけど、実際は70くらい達成してもらえればいいや」と思っており、現場は「こんなの達成できるわけない」と思っている、そんな意味のない数字が出来上がる。一瞬で鉛筆なめなめしてできるならいいが、何か月ものプロセスを踏んで、出てくるのがそんな数字だ。これに意味があるのだろうか。「予算を組まなくていい組織があるとすれば、どんな形だろう」と考えるだけでも、かなり面白いと思う。

 

最近ティール組織について勉強している。フレデリック・ラルーさんの著書、非常に面白いし興味深い。多くの部分に共感し、そしてそういった組織が既に存在していることに希望を抱くわけだが、残念ながら「実感」ができない。本当にそんな形で、統制するのではなく人々を信頼し、彼らの自主性に任せる事でうまくいくのか。少なくとも現在のコンサルタントは、組織を「機械的に見る」ことをプロジェクトを通じて学んでいく。例えばコンサルタントがよく使いそうな、「KPIを設定する」、「組織をリエンジニアリングする」、「インセンティブ設計をする」、「モチベーションを上げる」、といった表現は、どれも組織を機械的に捉えているが故に出てくる表現である。そのトレーニングを受けてきた人間からすると、ティール組織が頭では理解できても、まだ実感できないというか、筆者の言う事が信頼できないというか。フレデリックさんもマッキンゼーで長年勤めた人なので、最初は同じような感覚だったのかもしれないが、その彼が理路整然とそれを本にまとめるまでに至っているところが興味深い。

 

一度ティール組織で働いてみたいな。