わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

週100時間働いて過労で倒れる

文字通り働き過ぎて倒れると悲惨である。人生を棒に振る。そんなに働くなら、躊躇なく会社を辞めた方がいい、と自分の経験から言える

 

長時間労働をして、体調を崩して倒れた、という人がまわりにいる会社員は意外と少ないかもしれないが、少なくとも自分がBCGに入社したころはまわりに「ザラに」いた。実際入社した時、同じフロアに3人もいた(2000年代後半のBCGはだいぶホワイトだったが、それでもそんな感じ。それ以前はもっと労働環境はひどかったらしい)。自分を最大限ストレッチしつつ、倒れないようにしながら、up or outで生き残る、これは戦だなと、結構入社した直後は、その3名倒れているというファクト自体に緊張したものだ(同期とそういったひそひそ話をしながらお互い身を引き締めたことが懐かしい)。

 

自分はそうはならない、と思っていたが、一度倒れたことがある。週ちょうど100時間くらいの生活を6週間続けているときにそれは起こった。週100時間というと、平日一日16時間+土日に16時間という事だから、感覚としてはそれほど大した事はない。16時間働くといっても、そもそもどのプロジェクトに入っていても当時はだいたい朝8時半ごろ会社にいって夜中の1~2時までオフィスで作業していたから、それが普通だった。ただ、その時は不幸が重なった。ボストンオフィスに在籍しつつ、東京オフィスにあまりに人がおらず、東京の案件(しかも地方)にアサインされたのだった。つまり、自分の住居はボストンにあり、地方のホテルに滞在しながらプロジェクトに入っていたのだ。16時間毎日働いても、自分の家のベッドで寝れるなら大した事がないと思うが、ホテルのベッドで寝て家に帰れないというのはそれだけでかなりのストレスになっている、という事をその時はじめて理解した。

 

5週間目くらいに、仕事が終わらないイライラで夜中3時くらいにエレベーターのドアを思いっきりけるという、普段の自分ではありえない行動をとりはじめ、とうとう6週間目に、タクシーの中でパニック発作のようなものを起こし、働けなくなった。8週間のプロジェクトで2週間を残してボストンに強制送還。当時ボストンオフィスでは、毎週実労働時間をシステムに入力する仕組みがあり、正直に入力していたら、オフィスも「これは異常だ」と把握して電話をかけてきてくれたのだが、時すでに遅し。

 

ボストンに戻ったものの、回復までは大変だった。そういった場合にはメンタルもフィジカルもやられており、特にメンタルの回復に時間がかかる。幸いにも、いや、皮肉にもアメリカのBCGは最高の健康保険を社員に提供しているので、医者にかかるのに1回10ドル程度、薬はどんなに最新の薬でも1ヵ月分が2ドル程度支払うだけで手に入ったが、自分に合う抗うつ剤を見つけるのがまず大変だった。当時出ていた、世の中にある大半の抗うつ剤を試した気がする(おかげで実体験として色々なメーカーの抗うつ剤睡眠薬の効き方を語る事ができる、笑)。たまたま体に合うものが見つかり自分は回復に至ったが、その後のパフォーマンスにも影響があったし、「働くのが怖くなる」などトラウマ的なものも残るので、一度でも倒れると本当に人生を棒に振ってしまうと感じる。

 

ちなみにその8週間のプロジェクト、他のメンバーは新卒入社でかつ最初のプロジェクトという、正直「役に立たない人」で、明らかに自分の頑張りで回っていたと自負しているが、評価が最悪だったのを覚えている。「倒れる前に上司に十分相談せず、自分を管理できていないのはプロフェッショナルとしてあり得ない」というのが理由らしいが、3週間目くらいから「これはサステイナブルではない」と当然上司に相談していたし、自分としては納得いかなかった。ただその上司もその直後のプロジェクトで倒れたらしく、なんか文句を言うのも面倒になって、評価はそのまま受け入れた。結局どんな場面でも自己責任という便利な言葉で責任を押し付けられる、そういうファームだ。

 

働き過ぎ、自分でそれが分かっていても止められない状況があるのも(自分が経験したので)理解した上で、それでも働き過ぎて倒れるくらいなら上司を殴ってでも即刻その仕事を辞めた方がいいと、伝えたい。