わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

上司が完全に止まる事の大切さ

チームの生産性を高める上で、「上司が完全に止まる」時間を作ることはかなり大切だと思っている

2週続けての3連休に挟まれた今週、クライアント先の何人かのメンバーが少し遅い夏休みをとっている。普段よく雑談させて頂く方に、「今週〇〇さんの上長休みだから、少し気分が楽なんじゃないですか」と尋ねたら、「いや、何とも言えないメールが飛んできていまして、、、」と顔を曇らせている。その様子をみて、コンサル時代の自分を思い出した。

 

BCGの東京オフィスにいた頃、正直一緒に働くプロジェクトマネージャーには一切恵まれなかった。自分では全く望んでいないのに、社内で「あの人とは働きたくない」、「(ジュニアメンバーの)殺し屋だ」、という評判の人になぜか立て続けに当たっていた(よく生き残ったと思う)。その中で気が付いたことだが、殺し屋とまで呼ばれる人に共通する特徴は、どちらかというとマイクロマネージでとにかく連絡が多い事、加えて、「止まる時間」がない事だ。彼らは平日の夜中2時でも、週末でも、いつでもメールを返してくるし、時として電話もかけてくる。しかも悪気が一切ないのでよけいたちが悪い。「返しておかないと自分が忘れてしまうので」とか、「インプットが早い方がいいかと思って」という理由で、本人はよかれと思ってやっているのである。

 

少なくとも自分の場合、絶えず連絡が来える状況だと生産性が著しく落ちる。自分で落ち着いて考えたり作業したりする時間が無くなる、もう少しふわっと表現すれば、「自分が息を吸う時間が無くなる」ためである。自分だけでなく、コンサルタントは多くが内向的(≒Introvert)なので(ファーム全体で性格診断を行うと、大抵80%以上がintrovertと判定される)、同じように感じる人が多く、集中できる時間の確保、が生産性に直結することが多いように思う。

 

コンサルティングファームでは、プロジェクトのキックオフのタイミングで、メンバーが個人の働き方の好みなどを言い合い、チームルールを設定することがある。そこでよく出されるルールが、「週末は完全に止まる」とか「平日22時以降は完全に止まる」、というものである。止まる、とは作業をやめるという事ではなく、メールや電話等の連絡は一切やめる、という意味である。つまり平日22時以降や週末は誰からも邪魔をされることがないことが保証され、自分なりに生産的に作業を進められる、という訳である。もちろん努力目標であって、例えばチームが炎上しているときは22時以降でもやり取りするわけだが、原則としてマネージャーを含むチーム全員がそれを心掛ける。こういったルールはチームの生産性に大きく影響を与えているように思うし、うまく行っているチームほどどんな状況でも極力ルールを守っている。

 

22時以降や週末にメールを送らないという事は、マネージャーからするとある種の妥協・あきらめが必要であり、別の言い方をすると、メンバーを信頼するしかない状況が生まれるのだが、これがチームに好循環を生むきっかけになるのだと理解している。

 

いずれにしろ、コンサルファームのような激務が当たり前の環境に行くと、上司が止まらないと下が死ぬ。そのことを十分理解し、マネージャー以上の立ち場の人間は勇気をもって止まる時間(ジュニアメンバーに連絡をしない時間)をしっかり作るようにしてもらいたい。