わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

正直さ、素直さ、潔さ

新卒で戦略コンサルティングファームに入社し携わった最初のプロジェクト、というのは比較的よく覚えているものである。特に、色々インプット、と言えば聞こえがいいが、要するに怒られた記憶、というのは中々消えない。

 

自分の場合、最初のプロジェクトはとある製造業の会社のリストラを伴うターンアラウンド案件だった。今振り返ると、色々先輩にご指導(と言えば聞こえがいいが、要するに怒って)頂いた記憶がよみがえってくるが、その中で特に印象的だったのが、自分に非があると思ってクライアントに謝ったこと自体を猛烈に怒られた場面だ。クライアントのマネージメントを10名ほどオフィスの会議室に招いて実施したワークショップの場で、自分のミス(と自分は解釈していた)から少し誤解を生じさせてしまい、それを全員の前で謝った。その場はそれでなんなく収まったのだが、解散した直後に、当時一緒に働いていたプリンシパルに呼び出され、謝ったこと自体を怒られた。彼曰く、「かなり高額なフィーを払って雇っているコンサルタントがミスをした。それで謝って、明確にミスを認めたら、下手すればフィーを返せという話にもなりかねない。謝るときは必ずパートナーかプリンシパルに確認しろ」との事。明確に謝るほど、解釈の仕方によってはこちらに非があったわけでもなく謝ったことがよくなかったようで、当時は、素直に謝るのにいちいち許可がいるのか、ともやもやした記憶があるが、今思うに、自分の判断は正しく、あのプリンシパルが単純にイケてなかった、というか「信頼」とは何なのかを理解していなかっただけではないか、と思える。

 

コンサルタントとしてだけでなく、人として、正直であること、素直であること、は非常に大切だと思うし、それが自然とできる人はものすごく貴重な才能の持ち主だと思っている。社長の意見に対して、自分は違うと思ったら、正直に「自分は別の見方をしていて、、、」と言えるとか、何か言われて分からなかった時に、素直に、「分からないので申し訳ないのですが説明してください」と言える事は、信頼構築の上で非常に大切な要素だと感じる。分からないのに知ったかぶりしたり、違うと思っているのに言わなかったりする人間に対して、特に経営者という人種は信頼を抱かない、と感じている。

 

合わせて、コンサルタントという視点で言うと、例えば、社長が強く主張しているが、自分は筋が悪いと思っていること、に対して何等かプロジェクトをプロジェクトを立てて遂行しなければならないケースで、素直に、正直に「自分はそれは違うと思う」と言うと同時に、それでもやってほしいと言われたら、「自分が心の底から得心できない事は請け負えない。他の人に頼んでほしい」といって断る、潔さ、が極めて大事だと思う。コンサルタントも、平たく考えればフィーベースでプロジェクトを請け負っているだけなので、目先のことを考えれば、別に社長がやりたいんだからやればいいじゃん、的発想もあるものの、そこを潔く断る、事が信頼につながる。

 

正直さ、素直さ、潔さ、この3つは本当に重要だと思う。