わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

プリンシプルを持つという事

プリンシプル(日本語で言うところの原理原則)を持ち・従う、という事は色々な場面で非常に大切である

 

自分は普段あまり本を読まないのだが、好きな本は何度でも読む、というタイプである。つきなみではあるが、子供のころは星進一の短編小説をよく読んでいたし、社会人になってからよく読んでいた本には伊坂幸太郎がある。星新一にしろ、伊坂幸太郎にしろ、プロの作家さんの文章が凄いなと思うのは、どの作品でも「同じリズム(というかトーンというか)」が感じられる事である。伊坂幸太郎は、どちらかというと重めのピアノというか、そんな文章を書く人で、どの作品でもそれが統一されているので、恐らく作者名を伏せても文章を読めば伊坂さんが書いたとあてられると思う。

 

なんでそうなるのかなと、自分はプロの作家でもないので分かりようがないのだが、恐らく文章を書くときに何らかのプリンシプル(つまりは原理原則)のようなものに従っているからではないかと想像している。意識的にか、無意識的にか、何か文章を紡ぎだすときに自分の中で従っているものがあるのではないかと。

 

プリンシプルという概念は、経営の現場でも非常に重要である。どのような場面でも、プリンシプルに沿って考える事で迷いなく判断・行動できる事が多い。

 

コンサルティングファームでも、プリンシプルが定義され、共有されている事が多い。例えばどのファームでもよく見られるのが「Client first」(ただし、同じ言葉を用いていても、各社によって社員の間での捉えられ方は微妙に異なる)。これは簡単に書けば、クライアント企業に対する付加価値の最大化に専念する、ということ。

 

例えば、クライアントがあるプロジェクトの支援をファームに依頼してきたとして、自分がパートナーだったとする。支援を必要としている内容をみて、自社でできなくはないが、明らかに別の会社の方が得意な領域である場合、自社の売上とクライアント企業に対する付加価値のトレードオフが発生する。つまり、自社で受ければ自分の成果になり売上貢献できるが、クライアント企業が最終的に手にするアウトプットの質は別会社を使ったときの方が高いかもしれない。こういった場合、プリンシプルに従えば、迷いなく自社で受けるのは断り、別会社を進める、という判断をする事ができる(もっと手前で、そもそも迷う事自体が無駄である)。こういったプリンシプルに沿った行動は、逆にクライアントの信頼を勝ち取る事にも繋がるのである(なんでもかんでも出来ますといって引き受けるベンダーほど怪しいものはないだろう)。

 

別の事例として、先日DeNAの南場さんの記事を読んだ。

fullswing.dena.com

オンプレミスかクラウドかで社内判断が分かれた時、「人材を最大限大切にする」というプリンシプルに沿って決断したという話。

経営者にとって何が決定打となったかというと、“人材”です。CTOの小林が言いました。「我々の優秀なエンジニアをもっともっと創造的な仕事にフォーカスさせたいんだ」

 

これがプリンシプルを持つことの効果なのである。