わかるブログ

人生の後半に向かっていくにあたり、自分の引き出しの中身を色々書いて一旦空にし、新たに学びを深めていかざるを得ない環境を作ろうと思って始めたブログ

コンサルでは学べない大切な能力

コンサルティングファームで学べない能力の一つに「営業力」があると思う。一段具体的に言えば、お金が絡んだ時の人の心理の変化を読む力、である。

営業というと一般的に「きつそう」といったイメージがあるかもしれないが、「営業力」はビジネスマンにとって極めて重要な能力だと思う。なぜかと言えば、シンプルに稼ぐ力に直結するからであり、極論100円で購入した鉛筆を300円で売る能力があれば、生活できてしまうわけである。

 

残念ながら、この営業力はコンサルティングファームでは基本的に身につけることができないと感じている。正確に言えば、コンサルティングファームで営業をやっているのはパートナー中心なので、まず、パートナー以下の特にジュニアメンバーは営業というものを経験することはないどころか自社のフィーを目にすることもない(ただしこれはファームにより異なる。BCGはコマーシャリズムが極めて強いので、ジュニアでもフィーは目にすることがある)。そして仮にパートナーまで昇進し、営業をするようになっても、特にMcKinseyやBCGといった外資コンサルの場合、あまりに特殊な商材かつ強いブランドに支えられているので、汎用性の高いスキルにはならない気がする。

 

なので、自分の場合、恥ずかしながら「提案書」と「見積書」が異なるとか、「検収書」といったものが存在するとか、そういったモノ・サービスを売る際に通常やり取りされている書類や商習慣を理解したのは、BCGを辞めて個人事業主を始めてからである。

 

外資コンサルに入るような優秀な人材であれば、営業もやればできる、のは間違いないと思うが、少なくとも早くから意識的に営業力のベースとなる「お金が絡んだ時の人の心理の変化」は学んでおくとよいと思う(しかも、この分野は一大学問領域として研究されているので、かなり興味深い)。例えば、金額を提案する時には松竹梅の3案くらいを用意して、「相手に選ばせる(=顧客が自分で価格を決めている感覚を与える)」と効果的、というのもこの心理学に基づいている。また以前のエントリーにある、SaaSの価格を決める際の考え方、も人間の心理を巧みに操ろうとしている結果なのだと理解している。

 

営業力を磨く、そのことを意識しておくと、コンサルファームの外に出たときに生きやすくなると思う。